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ブラジルの国土は温帯から熱帯に広がっていて
その広さは日本の22.5倍もあります。

花の咲く植物や草が多く
養蜂に適した条件が整っているので
昔から農業者たちは
好んで、花の受粉をしてくれるミツバチを飼うなど
養蜂産業が盛んに行われていました。
温順なヨーロッパバチには危険が少なく
農業に従事する女性や少年たちにとっては
ミツバチは友達でもありました。

1957年
一人の日本人少年が父親に連れられて
養蜂に従事するために
あこがれのブラジルに移住しました。
サンパウロで坂本養蜂場を経営する坂本保孝 さんです。

まもなく10才になった坂本少年は
花の間を 楽しそうに飛び回るハチ  に目をうばわれ
自分の手で捕まえては遊びました。

それがきっかけとなってミツバチに親しみを感じるようになり
自然をよく観察し研究するのが好きになりました。

ところが、坂本さんが移住船から降りて
ブラジルの大地に足を踏み入れた年に
この国のハチの世界に悪夢の異変が起きていたのです。
ブラジルの養蜂業を衰退させるような大事件でした。

農学実験のために観察していた
「乱暴者」といわれたアフリカバチ種の女王蜂が逃げ出したのです。
それから数年経って
農家の友達であったはずのミツバチが
家畜や人間たちを殺傷する事件が起き始めました。
誰もが恐ろしがって
ミツバチを飼う人が減ってしまいました。

これから始まるブラジルのミツバチのページは
坂本保孝さんからお話を聞きながら編集しました。
数多くの写真も提供していただきました。